ガッテン 認知症と難聴 12月6日

12月6日(水)放送の「ガッテン!」で紹介されたのは、認知症の聴力の関係。加齢にともない聴力は低下し難聴の傾向となってきますが、これが認知症のリスクになることが最新の研究でわかってきました。なぜ難聴が認知症に結びつくのでしょうか。

聴力の低下と認知症

2015年の全世界の認知症患者は4700万人で、2050年までに約3倍に増えるとも予想されています。

現在、この認知症は罹患してしまうと治療することはできないとされていますので、認知症の予防や進行を遅らせることが大切になります。

では、まずこの認知症が、なぜ、直接的に関係のなさそうな聴力の低下、すなわち難聴によりもたらされるのでしょうか。

2017年7月、権威ある専門誌Lancet(ランセット)に、認知症の予防や治療などに関する最新の知見をまとめた論文が掲載されました。

ここで、難聴が認知症のリスクであると論じられたのです。仮に難聴になる人を完全に無くせたとしたら、認知症を今より9%も減らせると論文は指摘します

イギリスで行われた最新の調査では、50歳以上の1万5千人近くを調べたところ、中等度の難聴(普通の大きさの会話での聞き間違いや聞き取りにくさを感じる)がある人では、認知症のリスクが1.6倍になっていたと発表されています。

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老人性難聴

年齢を重ねるとともに身体機能は低下していきますが、これは耳も同じ。老化が原因で起こる難聴を「老人性難聴(加齢性難聴)」といいます。

「高い音から聞こえが悪くなる」「両耳の聴力が同時に下がる」「音自体は聞き取れても何を話しているか分からない」

これが老人性難聴の特徴です。

聴力は30代から徐々に低下し始めますが、顕著になるのは60代以降からと言われています。

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なぜ難聴で認知症になるのか

(老人性)難聴により、認知機能が低下するのはなぜなのでしょうか。その理由はまだ明確には解明されていませんが、以下のようにいくつかの仮説が考えられます。

この理由の一つに、「社会的な孤立」につながる、ということが挙げられます。

難聴になると、人の声が聞き取りにくくなり、会話が難しくなり、その結果、家族など周囲との関わりが減りがちになってしまいます。

難聴のために聞き返しや聞き間違いが増えて会話が億劫になり、その結果コミュニケーションそのものが減り、疎外感が強くなって、抑鬱状態になってしまう可能性があります。

このように、コミュニケーションによる刺激がないこと、精神的なストレスが増えることなどによって認知症になりやすくなると指摘されています。

またもう一つは、「認知的な負荷」が高まることです。「Effortful Listening仮説」あるいは「認知負荷理論」ともいいます。

私たちの脳には、コンピューターでいうところのワーキングメモリー(情報を一時的に保ちながら操作するための領域)があります。

例えば、「トイレにいくため2階から下の階に降りたとき、ついでに冷蔵庫からコーヒーを取ってこよう」というような考えが、一時的にワーキングメモリーに保存されます。

しかし、下の階に降りとき、ちょうどインターホンが鳴りインターネットで買った商品が届いたので受け取って、そのまま2階の部屋に戻ってきてしまったというようなことが起こり得ます。

これは「冷蔵庫からコーヒーを取る」という最初の記憶が「商品を受け取る」という行為によって上書きされ消去されてしまったから起こることです。

限られた容量のワーキングメモリーの中で、でより多くの情報を処理しようと思えば、それだけこの事例のようなことが起こり得ると考ることができます。

このように、難聴の人というのは、日常的に音声の聞き取りにくさのために多くのワーキングメモリーを消費してしまい、その結果、認知機能の低下に影響すると考えられるのです。

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難聴の予防

認知症の原因ともなりうる難聴の根本的な治療方法はありません。しかし、進行を遅らせることは可能です。そのためには以下のようなことが有効と考えられます。

①ストレスを溜めない

過度なストレスは、難聴の原因となる場合もあります。

趣味に没頭する時間を作ったり、気分転換をしたりすることでストレスを発散しましょう。

趣味をもつ、好きなことがあるということはそれそのものが生きがいとなりうるものでもあり非常に重要だと言えます。

適度な運動もストレス発散になります。

②耳の血流をよくする

耳の血液の循環が悪くなると、聴覚器官や脳への神経伝達が十分に行われなくなってしまいます。

血液の流れを良くすることが、難聴の進行を遅らせることにつながります。

血液の流れを良くするためには、バランスの取れた食事や適度な運動を取り入れることが大切です。

耳の治療にはよくビタミン剤の投与が行われます。主にビタミンB(1,2,6,12)やビタミンEが良いとされています。

③大きな音を避ける

大きな音や騒音に日常的にさらされていると、難聴になるのが早くなる可能性があります。

どうすれば大きな音から身を守ることができるでしょうか。

大きな道路の近くにお住いの方などは、日常的に騒音にさらされている可能性がありますので、このような場合家に防音対策をするなどの対処法が考えられます。

また、家でテレビや音楽の音量を大きくしすぎない、外部の音がうるさい場所で働くときはイヤーマフや耳栓などを使用する、中耳炎・メニエル病など難聴となる基礎疾患がないか調べる、などのことに気をつけることが大事です。

まとめ

認知症と難聴について考えてきました。認知症と聴力、これらは一見関連があるように思えないですが、実はそうではないのですね。

厚生労働省の推計値では、認知症患者は、2025年には700万人を超えるとされています。

自分や家族にとって、また社会にとって、認知症は決して無関係ではいられない問題ですよね。

この認知症を理解するための、新しい視点の一つが「難聴」なのです。